虫歯の治療の時に麻酔って必要?その1
こんにちは。
匿名歯科医師だ。
今回のテーマは、
虫歯の治療の時に麻酔って必要?
だ。
実は、
虫歯の所というのは痛覚が存在しない。
その為、
虫歯の所だけを削れば、麻酔をしなくても痛みなどは一切出ない。
つまり、
麻酔など不要なのだ。
・・・とは残念ながらならない。
なぜなら、
「虫歯のみ」を削ることは実質不可能だからだ。
理由としては、
①虫歯の原因菌のサイズ
②歯科医師のスキルの問題
の2点があげられる。
それぞれについて書いていく。
①虫歯の原因菌のサイズ
これは、歯学部の学生でも知っているレベルだが・・・
虫歯の菌はメジャーなものが2つある。
1つ目はミュータンス菌:エナメル質の虫歯の原因菌
2つ目はラクトバシラス菌:象牙質の虫歯の原因菌
この2つはどちらも大きさは0.5~1.0㎛程度といわれている。
㎛という単位が聞きなれない人の為に、mmで表すと、
0.0005~0.001mm
となる。
「え、見えてるの?それ。」
と思ったあなた。
その感性は非常に正しいものなので是非忘れないでいただきたい。
ハッキリ言おう。
「見えるわけないじゃん。」
いや、そりゃそうでしょ。
そんな小さいもの裸眼で見えるわけないよね。
歯科医師は某猫型ロボットじゃないんだから、ズームなどできない。
いや、猫型ロボットもズームは出来なかった気がするが。
その為、その細菌を可視化するため、齲蝕検知液というものが存在する。
これは何かというと、虫歯の細菌を染めてくれる画期的な代物だ。
だが、これにも欠点がある。
接した所しか染色してくれないので、染め忘れなどがあると、そもそも虫歯が染色されない。
そして、なにより。
結局染めたものも限りなく小さいサイズなので、結局見逃してしまう。
そして、
②歯科医師のスキルの問題
これもまぁ当然だが・・・
どれだけ染色液でピンポイントに染め出した所で、そこだけを削るなど、人間には不可能だ。
某猫型ロボットなら・・・いや、彼はそもそも意外とドジっ子なので無理だろう。
そして何より、現在発売されているバー(歯を削るドリルの先端部分)でピンポイントに削ることが出来るサイズは存在しない。
以上の2点より、
虫歯を取る時に痛みを出さずに取りきることは不可能だ。
だが、思い返してみてほしい。
今まで行った歯医者で、何件かは必ず麻酔なしで治療を行ったはずだ。
これにはまたもや保険のルールという、
日本の歯科治療の闇が絡んでくる。
若干長くなるかもしれないので、またこのあたりで区切りたいと思う。
では、また。近いうちに。