重曹うがいってどうなの。
こんにちは。
匿名歯科医師だ。
今回のテーマは
重曹うがいってどうなの。
だ。
最近、と言っても割と前だが
とある歯医者のブログでご丁寧にお子さんのレントゲン写真を添えて
「虫歯になったけど、重曹うがいで治ったよ!!」
という内容の記事が書かれたことがあった。
それ以降、インターネット上では
「重曹うがいをしたら虫歯が治る。」
「ホワイトニング効果もある。」
だの、無責任な記事が溢れかえってしまった。
重曹うがいで検索をかければ関連記事がすぐに出てくる。
歯は虫歯菌の出す酸で溶かされる。
↓
じゃあ、アルカリ性の重曹で口腔内のPH上げればいいんじゃね!?
と考えたようだが・・・。
びっくりするほど的外れな考えだ。
そもそも虫歯というのはプラークの付着している所に出来る。
そのプラークとは、「細菌+それを保護するグルカン」と呼ばれる構造物だ。
そしてそのグルカンが細菌を守っている為、
口腔内のPHとは関係なしに歯を溶かす。
つまり、どれだけ重曹うがいで口腔内のPHを上げようが、全く意味がないのだ。
しかし、その歯医者はレントゲンで、虫歯が治ったことを証明している!
と思った人もいるだろう。
・・・本当に治ったのだろうか・・・?
というのも、
エナメル質・象牙質は再生することが出来ない組織なのだ。
つまり、レントゲン上で虫歯の所が埋まってきているのであれば、それは別の何かで埋まってきているという事になる。
その何かとは・・・
所謂歯石だ。
要は、重曹うがいで虫歯が治った!と思っているのは、
ただただ、虫歯の所に歯石が出来てしまっただけの話だ。
そして、歯科医師であれば恐らく誰でも知っている常識。
歯石は多孔性。細菌とかスカスカ通る。
つまり、今後数年後にまた彼のレントゲンを撮ったら・・・
埋まったと思っていた所の下にかなり大きな虫歯が出来てしまった。
なーんてこともあり得る。
もっともそうならないように、必死にフロスなどをさせていると思うが。
また、重曹うがいをすることで歯の表面に細かい傷がつき、着色しやすくなるだけか、歯石まで付きやすくなってしまう。
まぁ、つまり、だ。
間違っても重曹うがいなんて絶対にしないように。
・・・とか言いながら、
数年後にしっかりとした論文などで重曹うがいの有用性が発表されたら
全力で謝罪したいと思う。
では、また。近いうちに。