歯科医師の暴露日記

歯科の裏事情やタブー、内緒話。患者さんには言ってはいけないと言われるような内容を書きまくります。

顎関節症の治療でマウスピース?

こんにちは。

匿名歯科医師だ。

非常にお久しぶりになってしまった。

 

まぁ、このブログは歯科医師の本音を暴露する・・・

言ってしまえばタダの世の中への愚痴を吐くためのブログなので、

更新が不定期になってしまうのは許していただきたい。

 

さて。

早速だが本題だ。

今回のテーマは

顎関節症の治療でマウスピース?

だ。

どういうことだ?顎関節症と言えばマウスピースだろう?

と思った方もいるかもしれない。

だが、残念ながらこれは間違いだ。

 

読者の中にも顎関節症になった人もいるだろう。

また、なったことがない人もいるかもしれないので、まずはその症状から書いていきたい。

・口を大きく開閉する度に音が鳴る(関節雑音)

・顎が痛む(顎関節痛)

・口が開かない(開口障害)

このうち1つ以上の症状があり、鑑別診断で他の疾患が無い状態を「顎関節症」という。

 

一昔前、日本では顎関節症になった人には必ずと言っていいほどマウスピースを作っていた。

そして、保険でも作成可能でしかも、簡単に作成でき、しかも保険点数は高めなため、現在でも非常に多くの歯科医師が作成している

 

さて、ここでテーマに戻る。

顎関節症の治療でマウスピースは適切なのだろうか。

というのも、実はこの顎関節症

5つのタイプが存在しており、それぞれに対する処置の方法も変わってくる。

 

それらについてはまたその内書こうかと思う。

 

ちなみにマウスピースには別の呼び方もある。

マウスピース=ナイトガード=スプリント・・・などなど、一番オーソドックスな呼び方がこの3種類だ。

それを踏まえて以下のものを見てもらいたい。

これは顎関節症学会のガイドラインのものだ。

えらくポップなデザインだが、そこは気にしないで頂きたい。

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画面中央部に、書かれてあるのが、マウスピースに対する考え方なのだが・・・

「咀嚼筋痛を主訴とする顎関節症患者において、適応症・治療目的・治療による害や負担・他治療の可能性も含めて十分なインフォームドコンセントを行うならば、上顎型スタビライゼーションスプリント治療を行っても良い。」

となっている。

 

・・・行っても良い。

 

察して頂けただろうか。

行った方が良い。ではない。

また、非常に回りくどく、また丁寧に書かれているので、わかりやすく書き直すと

 

むやみやたらとマウスピース入れてんじゃねぇよ。

バァカ。

 

となる。

学会からの公式発表でそうなっている。

なぜ学会からもマウスピースを推奨しないかというと、そのデメリットにある。

実はこのマウスピース、1月も連続で装着すればかみ合わせが狂い始める。

そうすると、むしろ顎関節症が悪化する可能性も孕んでいる。

そしてそれに対して、メリットは皆無だ。

 

ただ、この説明をすると患者からはこういった返しが返ってくることがしばしばある。

「でも先生。前にそれ入れたら痛いのがすぐに無くなりましたよ?」

だ。

ハッキリ言おう。

それは、ただ自然治癒したか、もしくは思い込みだ。

「病は気から」という言葉もあるが、これは意外と正しい。

これで大丈夫だと思い込むことで症状が改善することは医学的に非常によくある。

薬理の世界では「プラシーボ効果(偽薬効果)」と呼ばれるものだ。

 

原因不明の腹痛で悩んでいた人が、医師から特効薬と言われてある薬を飲んだところ、たちまち痛みが消えた。

所が、実はこの薬はただの小麦粉だった。

 

と言うのがこの話のオチなのだが、これも偽薬効果だ。

 

それと同様に、「マウスピースを入れているからもう大丈夫」と思うことで痛みが改善することがよくある。

 

また、人間の生体に対する許容範囲と言うものは非常に広く作られているので、

多少顎関節がズレたりしても、その内痛くなくなってくるものだ。

その結果、それがあたかもマウスピースを装着したことで症状が改善したと錯覚する。

 

つまり、はっきりと言ってしまおう。

 

マウスピースは顎関節症にほとんど全く効果がない。

 

もし今まで、マウスピースで改善したと思っていた方は、

詐欺の被害に会いやすいので注意していただきたい。

 

 

ちなみに、未だ出会ったことはないが、マウスピースを入れることで症状が悪化する方も稀にいるそうだ。

もし自分がマウスピースを入れて症状が悪化してしまったら・・・と考えるとぞっとする。

まぁ、私なら確実に訴訟を起こすだろうが。

 

顎関節症の治療については、

むやみやたらとマウスピースを入れようとするヤブ・・・失礼。

歯医者には掛からないように気を付けていただきたい。

 

では、また。近いうちに。